活動記録 5
2017、18年 | 学習支援編②

思考力レッスンの開始
この頃から算数をベースとした「思考力レッスン」を開始した。「たし算」「ひき算」、ときには幼児教育にまでさかのぼって、基礎となる部分を丁寧にやっていく。
このレッスンを進めていく中で、「問い」に対して、本来「わからない」ものであっても、よくわからないが独自の思い込みで「答えてしまっている」ことが見えてきた。
「わからない」と言えないほどプレッシャーの中を子どもたちは生きているように思えた
算数は答えが決まっているため、いくら独自の思い込みで理屈を説明しようとも、正解ではないことを本人に明確に伝えることができた。
やる気のある子には、このレッスンを繰り返しおこなうことで学力を伸ばすことができるようになった。最終的には自力で学べるようになるまで成長する子も出てきた。

楽しく成績が上がるようになって思ったこと
この頃は、思考力レッスンのほかにも、音声や画像を使ったクイズ番組風のオリジナル授業を開発したり、楽しく学ぶことができる環境になっていた。実際に成績や内申点も向上していた。
しかしながら「何かが違うんじゃないか」という葛藤も同時に抱えていた。
子どもたちを見ていると、本気でなにかを達成したいと願ったとき、それを達成できた時には喜びを爆発させている。それは、大人から見たら本当にささいなことでもだ。例えば、じゃんけんで勝つといったことでも本気で喜ぶのが子どもなのである。
しかしながら、勉強ではそれが、ない。
本気で喜ぶ子どもたちの姿を見ることができなかった
どんなに成績が上がろうとも、これまでできなかった問題が解けるようになろうとも、いままでわからなかった時計の時間が読めたときにも、そこには本気で喜ぶ子供の姿を見ることはできなかった。
「教える」という行為は「学びたい」という生徒側の思いがあってはじめて成り立つ。もしそれがないのならただの「押し付け」になってしまうのではないか。
「教える」を手放すことになった決定的な出来事
もし「勉強したい」という言葉が本気でないのなら、いまこの子にとって本当に必要なのは、いま目の前にある勉強なのかと疑問がわき始める。
「勉強したい」と言っているのは、ただそう言わざるを得ない状況に置かれているだけなのではないだろうか。
そこで、楽しく成績も向上していた時期にこんな試みをおこなった。
「これからは自分で考えて勉強してみてください」「その中でもしわからないことがあったら質問してきてください」と。
もう十分に勉強方法は伝え、実際に成績を伸ばしてきた子どもたちに対してである。もし本人たちが本心から「勉強したい」のならば、これまでのやり方を参考にしながら「自習」することができるはず。
しかしながら結果は、「自習」して試験に臨む子の姿を誰ひとりとして見ることはできなかった。
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